科学データの特異性
科学的革新はデータから始まります。そして、研究所には大量のデータが手付かずの宝の山のように存在しています。反復型プロセスを迅速に行い、科学的発見を加速するには、研究者がデータを手にし、さらに自らデータを使いこなせるようになる必要があります。しかし、研究データは、その特殊な性質のため、そこから価値を引き出すことは容易ではありません。
研究開発では、データが複雑でマルチモーダルであり、さまざまなソースから取得されるため、データの処理はビジネスの他の領域よりもはるかに労働集約的です。
科学データには、画像、時系列、表、機械生成されたバイナリファイル、電子実験ノートなどが含まれます。 実験室で使用される計測機器も、これらのデータを継続的に生成します。 研究者は、生データを処理して新しいデータを生成する計算ワークフローを実行します。
データは管理されているもの、管理されていないものが混在しており、また、分析を実行する前には、適切なデータを1か所にまとめておく必要があります。
分析用に最適化されたデータとは?
分析用に最適化されたデータとは、特定のユースケース分析をサポートするために高度にキュレーションされた、すぐに利用できるデータです。このようなデータを利用してプロセスを開始すると、分析用データの準備に要していた時間が大幅に短縮されるため、研究のスピードアップにつながります。
データ分析を容易にする技術的基盤が整備されていないラボの研究者やエンジニアは、データを活用するどころか、データやシステムに関する非本質的な作業にあまりにも多くの時間を取られています。つまりデータウェアハウスやデータレイク、あるいはその他のサイロ化されたデータ管理システム内のデータにアクセスすることや、コンピューターの環境を設定したりすることなどです。加えて、コンピューターリソースの承認や利用可能な状態になるまで待機すること、同僚との共同作業でフィードバックを共有する方法や本番環境に移行する方法を模索することにも時間が取られています。
科学研究に特化したデータツール
科学関連企業の多くは、単に研究開発データを組織的に構造化することに重点を置いています。しかし、単にデータを保存したり、構造をを新たにするだけでは、必ずしも研究目標達成の手助けになるわけではありません。
Enthought Edgeは、科学研究における反復型プロセスのために構築されたクラウドネイティブ・プラットフォームです。このプラットフォームを使用することで、研究者は、組織のファイアウォールで安全に保護されている単一の環境内で分析に適した形式のデータを入手したり、データにアクセスしたりできます。
Enthought Edgeは、データコンパイルの自動化、データ分析の10倍速化、ワークフローの最適化で研究者の時間を最大80%節約し、2年以内に3倍の投資利益率を達成します。Edgeは、研究者が、研究者目線で自らのデータを管理し、研究をスピードアップできるようにします。
R&Dデータの価値を引き出す
研究開発データに価値があることには異論はありません。しかし、実際は価値を引き出すために膨大なデータ処理や管理などのマニュアル作業が必要であり、これが研究者にとっての課題となっています。
実際、R&Dエグゼクティブを対象としたアンケート調査によると、75パーセントが、アドバンストアナリティクスが将来の研究開発において中枢的な役割を果たすと考えているにもかかわらず、実際にR&D組織がこうしたアナリティクスを活用していると答えたのは、わずか25パーセントでした。
汎用データの管理ソリューションでは、研究開発データ特有の課題に応えることはできません。Enthought Edgeは、研究者を時間がかかるマニュアルプロセスの管理から解放し、本来の職務である研究開発に集中できるようにする支援をします。
Enthought Tool Suiteは、Enthought、当社のパートナー、Scientific Pythonコミュニティが開発したオープンソースコンポーネントのコレクションです。当社はEnthought Tool Suiteを日々利用し、カスタム科学アプリケーションを構築しています。
当社のインサイト
次世代のマテリアルズインフォマティクスが開く研究開発の新たな道筋
人工知能(AI)の急速な進化は、材料科学や化学分野の研究開発のあり方を再定義しようとしています。特に、バッテリー技術、半導体、バイオ化学品、特殊化学品、高度な材料などの重要分野でその影響が顕著です。AIの魅力は単に研究を加速するだけでなく、イノベーションの実現方法そのものを変革する可能性にあります。
[資料]情報のキュレーションと知識獲得のための人工知能
本資料は、人工知能が知識獲得にどのように貢献できるかを解説しています。情報が知識に変わるプロセスは「キュレーション」と「知識獲得」の2つの段階に分かれますが、人工知能は情報の融合と意味づけを行い、研究者のアクセスを支援することでこの両方をサポートすることができます。本資料で紹介する科学検索システムの一部は、当社がクライアントと協力して開発し、実際に運用されているものです。